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昨年8月にご入社された、水谷泰次郎さん。長年、飲食業界でキャリアを築いてこられた水谷さんへ、これまでの歩みと、温泉道場での日々についてHR&カルチャー室の小林がお話を聞いてみました。
始まりは、まかないカレー。“やってみる”から始まった、飲食の道
ーー水谷さんが飲食業界からキャリアをスタートされた背景について知りたいです。大学時代から飲食業界を目指してたのですか?
いえ、実はまったく違うことを学んでいました。大学では「先史学」という、縄文時代よりもさらに前の時代の歴史を研究するような学問を専攻していたんです。あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、文化人類学や地質学に近い分野ですね。志望理由はといえば…先生が楽しそうだったから。正直、勉強はあまりしていませんでした。あまり真面目な学生ではなかったです。
ーー面白いですね。最初から飲食業界に関心があったわけではないのですね。大学時代はどんなふうに過ごされていたのですか?
地鶏料理を出しているお店でアルバイトをして過ごしていました。当時は料理はまったくできなくて、包丁すら持ったことがない状態でしたね。でも、ある日「カレーのまかない作れ!」っていきなり言われて。戸惑いながらもなんとか完成させることができたんです。その時、「あ、料理ってこんな風にできるんだ」って実感したというか、ちょっと感動したのを覚えています。そこから少しずつ飲食の仕事に興味を持つようになりました。
火の前に立ち続けた13年 ーー鍛えられた、責任感と“人を活かす力”
ーーその経験が、泰次郎さんが歩まれてきたキャリアのスタートにつながっていくのですね。新卒では株式会社プロントコーポレーション(以下、プロント)さんに入社されて、13年も勤められたとか。
そうですね。就職活動中は食品メーカーと飲食業界の間で迷っていたんですが、食品メーカーの選考は…まあ、無愛想だったんでしょうね(笑)、ほとんど通らなくて。それで、「自分は営業というより現場の方が合ってるかもしれない」と思うようになり、飲食業界の方へ気持ちが傾いていきました。その中でもプロントは、取り組みが面白くて魅力を感じましたし、人事の方との相性も良くて。「この人たちと働きたい」と思って入社を決めました。
ーー気が合った! 大事ですよね。プロントさんでの日々は店長経験が長かったと思いますが、どんな日々でしたか?
店長や統括店長といった役割を経験しました。最初の配属は銀座の大きなお店で、毎日たくさんのお客さまが来店される店舗でした。とにかく体力勝負の日々で、同時に「自分がやらなきゃいけない」という責任感が自然と身につきましたね。27歳で統括店長を任されるようになって、関西地区の直営店すべてを担当するようになりました。転勤と同時に結婚もしまして、仕事も生活もガラッと変わりましたね。今振り返ると、店舗運営や店舗ビジネスの基本を、実地で徹底的に学ばせてもらった時期だったと思います。
ーーこの期間のなかで、特に印象に残っていることはありますか?
「どうやって人を活かしていくか」を強く意識するようになったことです。店舗数が増えるなかで、自分ひとりで頑張ることには限界があるので。“人をどう育て、任せ、活かしていくか”という視点を持てるようになったのは、大きな転機でした。
現場から経営へ、視座が変わった各社での日々
ーーその後の歩みとしては、二社でご経験を積まれたのですよね?
はい。その後は、蕎麦をメインにした和食居酒屋を展開する株式会社プロスペリティ1(以下、プロスペリティ)、そして高級焼肉を扱う株式会社平常苑(以下、平城苑)という2つの会社に勤めました。プロスペリティでは部長職として、会社の経営立て直しに取り組みました。コロナ禍真っ只中だったこともあり、本当に毎日が試練の連続でした。とにかく、会社を存続させるという課題に向き合っていました。
ーーまさに現場だけでなく、経営視点が求められるタイミングですね。
そうですね。チェーン店での現場経験は積んでいましたが、ここでは経営や営業そのものをどう立て直すかという視点が必要でした。自分の判断がすべて返ってくる怖さもありましたが、「やるしかない」という覚悟で日々取り組んでいました。経費の見直しやキャッシュフロー管理、資金調達まで。初めて「会社の構造がどう成り立っているのか」をオーナー目線で実感できた期間でした。数年のうちに、ぐっと視座が上がったように思います。
ーー平城苑さんでは、また違った立場だったんですよね?
はい。平城苑では上場準備に関わり、バックオフィス全般の業務を担当しました。特に人事以外の機能 ──たとえば総務や経理、マーケティング部門の立ち上げ・管理などにも関わりました。上場を目指していたこともあって、会社の内部をどのように整えていくか、どこを整備していくべきか、ということを実感・体感できたのは大きかったです。企業フェーズも違った2社での経験は、間違いなく今の自分のベースになっていますね。あとは、平城苑でお肉に詳しくなりましたね。一生分の牛肉を食べたと思います。
温泉道場での新たな挑戦
ーー飲食業界と温浴業界とではまた違った世界だと思います。昨年8月にご入社されてからは、どのような日々を過ごされていたのでしょうか?
意外と、すんなりと入っていけた感覚でしたね。転職としては3回目だったので、「自分の感覚を会社に合わせていく」ことも理解していましたし、力加減もわかっていたのかもしれません。一番最初の転職のときは、正直なところ「自分はやっていけるのか?」って、かなり気負ってしまっていて。つい「前の会社ではこうだった」とか、前職の感覚を引きずってしまう部分もありました。でも、会社によって状況も価値観もまったく違う。それを本当の意味で理解するまでには、やっぱり時間がかかりました。
ーーこれまでの経験と比較して違いみたいなものはありましたか?
飲食業界って結局のところ、目の前のお客様に満足してもらうことがすべてなんですよね。それを日々、積み重ねていくことでリピーターになっていただく、そういう商売です。 それと、立地が非常に重要です。人通りの多い場所に出店できるかどうかで、商売が軌道に乗るかどうかが大きく左右されます。
一方で温泉道場は、再生業をしているということもあって。立地の良さに頼るのではなく、むしろ立地が悪い場所でどうやって再生するかという挑戦をしています。「この場所にお客さまに来ていただくにはどうすればいいか?」という問いに対して、マーケティングやデザインの力を使って戦略的にアプローチしているところが、これまで私が経験してきた飲食業界とは大きく異なる点でした。言うなれば今あるものに、「色」をつけて付加価値を高めていくような。
ーーその違いをどのように受け止めたのですか?
最初は驚きました。 温泉道場って、店舗ごとに販促計画を自分たちで立てるんですよね。最初は「え、自分たちで考えるの?」って思いました。私がこれまで働いてきた業界では、基本的に戦略は本部で考えて、現場はそれを実行するという構造が一般的でした。だから、「自分で戦略を立てて、実行していく」という文化は新鮮だったし、とても勉強になっています。
ーー比較的スムーズに働かれていると思うのですが、ギャップみたいなものはありませんでしたか?
それでいうと、施設設備に関してはありました。家の風呂とは圧倒的に違う規模の、温浴施設としての設備構造やトラブル対応など、本当に最初は分からなかったです。機械トラブルがあるたびに、 「これはどういう機能で、何のためにやっているんですか?」と、お取引先の方について回って、直接教えてもらえたことで、少しずつ理解を深めていきました。
次の一皿は—— 地域を味わい、人が集う未来をつくる
ーー今後、挑戦してみたいことがあればぜひ教えてください。
ガストロノミーツーリズムのような、食の力で地域に人を呼び込む取り組みにはぜひチャレンジしてみたいと思っています。せっかく自分が地方に身を置き、企画から運営まで行える会社にいるのだから「人を呼ぶ仕組み」までトータルでプロデュースしてみたいという気持ちがあります。
たとえば、おふろ屋さんのなかでビブグルマンに掲載されるような料理が楽しめるとしたら、素敵だと思いませんか? お風呂や宿泊に、「食」という体験が重なることで、地域の滞在価値そのものを引き上げられると感じるんです。
ーー最後に、どんな人と一緒に働きたいか教えてください。
素直な人ですね。温泉道場って、川上から川下まで一貫して自分たちの手でやっていくところが強みだと思うんです。自分たちで考えて、自分たちで実行して、形にしていく。それってすごく面白い反面、やっぱり大変でもあります。
だからこそ、「まずはやってみよう!」って素直に受け入れて行動できる人は、この会社ですごく力を発揮できると思います。良い意味でベンチャー気質があるので、決まったことをやるよりも、自分でつくっていきたい人にはぴったりな環境なんじゃないでしょうか。私自身、そんな仲間と一緒に、もっと面白いチャレンジをしていきたいと思っています。
ーーありがとうございました!
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