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世界一幸福な国フィンランドに学ぶ。本場フィンランドのサウナ体験やカルチャーを体験して、おふろcaféが届けたいこと(後編)

星成美

moi! こんにちは!
埼玉県で「おふろcafé」を代表とする温浴施設や宿泊施設を運営する「温泉道場」で、アートディレクターをつとめる星成美です。2024年7月に海外視察出張として、念願のフィンランドに行ってきました! 今回はフィンランドについてレポートするブログの第二弾をお届けします。

第一弾のブログもぜひチェックしてください!
https://ondoholdings.com/25768

2日目からは途中合流のメンバーと、フィンランド在住コーディネーターのこばやしあやなさんをお迎えし、サウナ・食事・アートを大満喫する4日間がスタートしました。あやなさんには、視察中に現地の説明だけでなく、フィンランドの暮らしやカルチャーなどたくさんのことを教えていただき、よりフィンランドが好きになるツアーになりました。


 

ここからは、現地で体験したサウナを一挙紹介していきます!

美術館にあるアートサウナ Mänttä

まず紹介するのは 、マンッタ(Mänttä)にあるアートサウナ。アートサウナはフィンランドの著名な芸術が集まるセルラキウス博物館の敷地内にあり、名前の通り、風景・建物・サウナ・家具・ラグなど、細かなところまで北欧らしいモダンでシンプルなデザインが施されていました。いたるところにアート作品やデザイン家具が飾られており、まるで美術館でサウナに入っているような感覚でした。美しすぎる!


貸切利用で、木のデザインが美しいサウナを楽しみ、長い桟橋をわたって湖に飛び込みます! 私も初めての湖ダイブを体験。湖が黒く見えると思うのですが、これは決して汚れているわけではなく、森林から流れ込む腐植質やタンニンが含まれることで黒くなるそうです。湖のなんともいえない手触りが病みつきになります。

個人的に印象に残っているのは、湖ダイブの後、ジャグジーで温まりながらいろいろ話した時間です。初めましてのあやなさんとも、フィンランドのお話しやこれまでの人生のお話しで盛り上がりました。サウナに入った後は、距離感が近くなったり、初めてのコミュニケーションのハードルが下がるのが本当に不思議ですね…! 


サウナの後は、シェフ手作りのお食事も楽しめます。

フィンランドのサウナは、コミュニケーションやリフレクション(振り返り)、もしくは日常の日課(日本でいうおふろ)として入るのが普通だそうですが、そこにアートも加わり、全身で感性をくすぐられる体験でした。


 

湖に浮くボート型サウナ「Floating Sauna Tampere」

マンッタからタンペレに移動し、最初に体験したのは「Floating Sauna」。名前の通り、湖の上に浮く手作りのサウナで、周りは水と自然だけ!

タンペレは、フィンランドの第二の都市とも言われているかなり都会的な場所ですが、湖に出ると自然と共存した風景が楽しめました! 今の日本ではできない体験なので、新鮮でした。


醍醐味はサウナの後に湖に飛び込む体験。白石さんがダイナミックにジャンプするのに続いて、みんなで挑戦! 新谷さんは飛び込むついでにロウリュ用の桶の補充もしてくれました。さすがフィンランドサウナアンバサダー!

ボートの屋上にはちょっとした調理場もあり、フィンランドの定番「マッカラ(ソーセージ)」にも挑戦。スーパーで見つけたマスタードが美味しすぎて、お土産で買って日本に持ち帰るメンバーが多発していました(笑)。


どこで仕入れられるか調べたり、あやなさんに地元でより好まれているメーカーを聞いたり、体験したものを個々でしっかり調べ上げるのも温泉道場流です。

フィンランドの方々は、ちょっとしたパーティーや家族との集まり、花火大会などの際にこのサウナを利用するそうです。日本だとそういう集まりはお食事がメインなので、よりコミュニケーションが深まる体験としてこの文化は日本でも表現していきたい…!

日本最古のサウナ施設「Rajaportin Sauna」

続いては私がずっと楽しみにしていたフィンランド最古の公共サウナ「Rajaportin Sauna(ラヤポルティン・サウナ)」! 新谷さんはフィンランドに来て初めて入ったサウナだそう。まさに人生を変えてくれたサウナ!

130年以上の歴史を持つ施設ですが、なんと今回はオープン時間前に貸切で利用させていただき、あやなさんに施設の隅々まで解説いただいた後に、時間いっぱいまで大満喫してきました。サウナはフィンランドの伝統的な蓄熱式ストーブのロウリュサウナ。一度薪をくべたら一日中保温性があるので、追加で薪を炊きません。

このサウナのスタイルはロウリュの仕方が特徴的! 通常の薪型サウナは第一弾でもお話ししたのですが、四方八方から水を投げかけていきましたが、ここのサウナは積み重ねられたストーンの深いところにじっくりと丁寧に水をかけていきます。ゆっくり、一点に集中して水をかけると、じんわりとあたたかい蒸気が降り注ぎます。

サウナ室は男女で分かれていますが、大きなサウナストーブは2部屋の中央にあり、男女共用なので声を掛け合いながらロウリュします。

サウナに入っていると、突然あやなさんにホースの水を全身にかけられ絶叫! 急な出来事でびっくりしたのですが、これがサウナ体験の革命でした。全身が暖かさと冷たさに交互に包み込まれて、サウナ室だけで温冷交互浴が完結し、全身がとろけていくようでした。

ふわふわした気持ちで、外のベンチに横になります。この色彩と風景、見たことある方もいらっしゃるのではないでしょうか! 実はおふろcafé utataneのサウナコタに飾られる写真は、このラヤポルティンサウナの写真なんです。

色鮮やかな建物と、ホップやお花などの植物に囲まれて、空にはカモメが飛んでいて…
休憩していると、焼き立てシナモンロールの香りが漂ってきて….
生活と密接しているフィンランドならではの風景を、作り手やそこに住む人たちの愛、語り継がれてきた伝統を知ったうえで、体験できたのがとても幸せでした。

ショップの店員さんはおすすめのビールを聞くと、その人の雰囲気に合わせたビールを出してくれました! このチャーミングさも、また行きたくなってしまう魅力ですね。



 

「スモークサウナ」で、サウナの常識が覆る Niemi-Kapeeでの滞在

タンペレから1時間ほど離れたNiemi-Kappe(ニエミ・カペー)に宿泊。家族で経営をしている、歴史もありご家族の想いも素敵なコテージです。周りには住宅などもなく、フィンランドの森の中にひっそりと佇むこの場所には、全て手作りだというコテージと薪サウナ、スモークサウナ、湖畔のくつろぎ場所があります。


オーナーが作ったスモークサウナは、これまでのサウナ体験と全く異なるサウナでした。スモークサウナの仕組みは話すと長くなるので、ぜひ調べてみてほしいのですが、お兄さんから聞いた情報で簡単に説明します!

薪を燃やすと煙が出ますが、スモークサウナには煙突がなく、まずはサウナ室内に煙を充満させます。もちろん、その状態では一酸化炭素中毒になってしまうので入れません。サウナストーブやサウナ室全体を暖めるのに約8時間ほど薪を燃やし続け、中の煙を扉から出し切った後に、中の炭を掃除して、やっとサウナに入れます。

これには相当高度なテクニックが必要だそうで、オーナーはこれまでサウナを温めた回数を柱に傷として刻み、日々鍛錬しているそうです。


サウナ室の中には、約3mほどの高さにも積まれた大きなサウナストーンがあり、2階にあがって蒸気を浴びます。ラヤポルティンと同様、ストーンに丁寧に一点に集中して水をかけると、ジューという心地よい音と共に蒸気が巡ってきます。

感動したのが、蒸気がおりてくるのではなく、巡ってくるんです…! 一度のロウリュで、蒸気が優しく何度も巡って、背中をなぞってくるような感覚がとても不思議でした。

サウナの後は、湖畔で浮かんだり…寝そべったり…たそがれたり…ボートに乗ったり…湖の底には泥があり、白石さんはセルフ泥パックを楽しんでました(笑)。


お食事はご家族手作りのサーモン料理や、ブルーベリーパイなどを振る舞ってくださりました! 周りにはジンの香り付けに使われるジュニパーやブルーベリーがたくさん生えており、フィンランドのお酒と一緒に現地の味を楽しみます。


サマータイムで太陽が沈まない時期だったので、どんなに時間が経っても、ずっと夕方のような早朝のような景色がとても非日常的。美しすぎる湖畔の景色を見ながら語らう時間は、ぐっと心の距離を縮めてくれたり、湖の揺らぎや陽の光で反射するきらめきは、なかなか普段は大事にできない、自分自身と向き合い背中を推してくれるような、夢のような時間でした。


実は滞在前に、オーナーからNiemi-Kapeeの地域や建物、ご家族の歴史をお話しいただきました。ここを設計したお父さんは、フィンランドの全てのサウナに行き、職人たちと一緒にこのサウナを作り上げたそうです。他にもさまざまな歴史を聞く中で、良いものにはただ場所があるだけでなく、「人の想い」や「場所の歴史や特性」が相乗効果で生まれていくものなのかなと思いました。

温泉道場でも「夢中になる」「温故知新」などのクレドがありますが、地域に愛されるお店を作る上でこのご家族と施設に出会えた体験は、人生の原動力になるような衝撃でした。歴史のある建物ですが、それを感じない行き届いたサービスと、手作りならではのサウナ室の設計やここでの体験は、「これは絶対に真似できない」「また絶対に来たい! 会いたい!」と思えた、例えるならアナザースカイのような場所になりました。


 

ヘルシンキの都市型サウナ「kuuma」「Löyly」

これまでの自然と共存したサウナとは少し違う、都市型のサウナにも行ってきました!

ヘルシンキにある「kuuma」

この施設は、都市の中心部にあり、サウナに入るすぐ横はレストランや交通量の多い道路が面していました。レストランでお食事を楽しむ人や、生活する人の中で、当たり前のようにサウナを楽しむ人たちがいるので、サウナが生活の一部だということを一番実感できた場所でした。

レストランでは魚料理やベジタリアンメニューを楽しみました。



 

そしてもう一つがヘルシンキでも有名な公共サウナ「ロウリュ(Löyly)」

現代建築としても有名な施設で、薪炊きサウナ・スモークサウナなど多種多様なサウナが揃っています。ここは、湖ではなく…バルト海に直接飛び込むことができます! 波が高い海でのととのいは、水泳力も試されるのでご注意を!


ここでも、レストランやバー、DJイベントが楽しめたり、近くには公園や運動場などもあり、さまざまな年代の人が施設を楽しんでいました。

一日に何件も同じ業態のお店をめぐることで、ターゲットの違いや業界の移り変わりなどを直に感じることができました。これも山﨑さんが視察のコツとして伝えてくださる、温泉道場ならではの見方です。おふろcaféは一つ一つコンセプトが異なるので、こういった視点はお店作りにとても重要だなと日々感じています。

最後に

怒涛のサウナ紹介をしてきましたが、いかがだったでしょうか。フィンランドでの体験は、私たちがお店作りをする上でたくさんのヒントが散りばめられていました。今回の視察を通して体感したことを、今度はお客さまの感動につなげられるよう試行錯誤していきます!

次回のブログでは、今回紹介しきれなかった「食」や「宿泊」の体験、そして私たちが今視察を経て届けたいことを紹介していきます。ぜひ次のブログもお楽しみに!

星成美NARUMI HOSHI

Department
(株)温泉道場/おふろcafé utatane/ブランドデザインラボ
Position
副支配人/アートディレクター

福島県 会津若松市生まれ。自然と温泉と美味しいご飯に育てられました、地元愛が大きいです。
趣味は、プリン巡り・純喫茶巡り・映画鑑賞・写真、など… 興味を持つと、とことんのめり込んでしまう性格です。
大学では養護教諭を目指し教育学や心理学などを学びました。教育を通じた子どもの居場所づくりや、親子の豊かなライフスタイルを後押しする場所づくりを目指します。

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