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ローカル企業こそ“働きがい”を大切に。温泉道場のCHROに聞いてみた(前編)

佐々木 圭子

こんにちは。温泉道場の採用など人事のことに携わっています佐々木です。
さて、近年は「働き方改革」に代表されるように、企業においてHR(Human Resource)といわれる「採用」「人材育成」「労務」などの分野の重要性が増え続けています。
温泉道場はかねてからこのHRに力を入れており、2017年、2018年と働きがいのある会社ランキング「GPTW®︎」に2年連続で入賞もしています。
そこで、温泉道場のCHRO(最高人事責任者)である宮本さんに、温泉道場のHRの考え方を聞いてみたので、その様子をお届けしたいと思います。

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採用や組織づくりにまつわるご質問が増えてきました

佐々木: もともと私は人材紹介系の会社で働いていて中途入社をしたのですが、温泉道場のようなローカルの中小企業で、よくこれだけ多くの採用を行ったり、働きがいに力を入れていったりしているなと思ってきました。
他社の人事の方とも話をすると、「温泉道場の人事戦略っておもしろいですね」とか、「どうやってそういう取り組みを生み出しているのですか」とか、お言葉をいただくことが増えてきました。

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宮本: そうですね。以前「おふろcafé」というブランドを立ち上げたときは、事業に関する質問をいただくことが多かったです。最近はありがたいことに、事業だけではなく、そこで働く「人」に関する施策・雰囲気の作り方についての質問やインタビューをしていただくことが増えてきました。
僕も温泉道場に7年前に入社してから、ローカルで中小の企業こそ、HRが大事だと思って取り組んできたので、外部の方から評価を頂けるのはうれしいことです。

佐々木: では、その温泉道場のHR分野の取組みについて、さっそく質問していきますね。

人事を戦略的に描かないと、事業がうまくいかない

佐々木: そもそもなぜ、宮本さんは温泉道場においてHRが重要だと考えるようになったのでしょうか?

宮本: 数年前のことです。僕たちが中長期で実現したいことを事業計画として書き出していくと、お店をオープンするスケジュールと同じぐらい、人材育成のスケジュールが大事だと気付きました。

僕たちの事業は、ローカルを中心に赤字経営の温浴施設を引き継ぎ、直営で再生していきます。自分たちで積極的に立地を選んで展開するのではなく、今あるお店を運営されている企業様から相談をいただいて、そこから運営を検討するのです。

丸福観光のメンバーと。

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佐々木: これまでの出店を見てみると、立地も、店舗の規模も、またオープンの時期も、本当にばらばらですよね。

宮本: そうなんです。規模によりますが、温浴施設1店舗をオープンするには、正社員・パート含めて20人以上のメンバーが必要になります。ところが、私たちのサービス業は一般的に、採用や定着に難があると言われています。
それゆえに、出店戦略と人材戦略がかみ合っていないと、うまく事業が動かなくなります。

佐々木: 事業を拡大していくために多くの人材が必要となる一方、その人材を必要とする立地や規模感、時期はバラバラで、かつ採用や定着が厳しいと言われている業界、ということですね。

宮本: そのとおりですね。お店の引き継ぎの相談を受けても、社内に適切な人材が揃っていなければ、会社として成長の機会を逃してしまいますし、事業もドライブしていきません。採用力や従業員満足といった、会社の「人」に関わることを、事業とともに成長させていかないといけないと感じています。

佐々木: なるほど。ちなみに、役員同士の連携はどうなっていますか?

宮本: 代表取締役社長(山崎)が、CEO・CFO・CMOを兼任、取締役副社長(宮本)が、COO・CHROを兼任という役割分担をしています。

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リスクを負って資金調達し、世界観を語り、出店を検討する社長(写真中央)と、中長期目線で採用と組織開発をして内部を整えながら実行する副社長(写真右)、ですね。創業期から安定期に移行させていくにあたり、この役割分担はうまくはまったと思います。

今後は、この2名での兼任体制から権限委譲しつつ経営チームを構成していくフェーズだと思っています。新たな経営チームに入ってもらえるメンバーが楽しみです!

「やること」「やらないこと」を決めて取り組む

佐々木: HRという分野で働いていると、たとえば、営業分野の方よりも成果が見えづらいなと思うことが多いのですが、普段から気にしている指標や指針はありますか?

宮本: いろいろと試してみて、感度が高い指標やアクションはこんな感じです。

・5年間の中期経営計画と、それに紐づく人員計画の作成と運用
・人時生産性を高めるテクノロジー投資を率先して行う
・採用チームを組織し、運営指針を決める
・メンバーが夢を叶える機会の設計と、定期的な1on1の設計
・離職の早期把握と伴走、転職支援

僕がCHROとして一番コアな仕事だと考えていることは、中期経営計画を達成するための、採用・モチベーション・組織開発の計画立案と達成です。
5年間の中期事業計画には、各役職の人数・採用数などを計画値にし、それらをもとに毎年コアに取り組む業務を決めています。2020年度は、「採用webページの改善」「新卒社員の導入期教育」「副支配人の強化育成」です。

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一般的な企業の人事部だと、「やること」と「やらないこと」はあまり決めないと思います。人事部=総務・経理・社内イベント・雑務・折衝・社長秘書・・・と何でも屋になっていて、ミッションがあまり定められていません。
中期事業計画に紐付いて、毎年の重点施策を決めていくと、あれもこれもとならずに事業の成長とHR分野のズレがなくなっていくのではと考えています。

佐々木: HRの分野は広げると本当に多岐にわたりますから、事業計画に基づいて本当に今必要なことを絞っていくことは、すごく大切だなと私も感じています。

「予算を決める」「離職率を下げる」はあまり意味がないかも?

佐々木: 逆に、感度が低い指標やアクションってありましたか?

宮本: もっとも感度が低いなと思ったのは、予算を決めることです。
たとえば、「福利厚生費や教育費を、営業利益の何パーセントぐらいにすべきか」という質問を多く頂くのですが、これはすごく難しい。

単純に割合を決めてしまうと、業績が好調な時には、多額の福利厚生や教育費をたくさん使うこともできるのですが、不調な時にはとことん絞るってなるわけです。
でも、事業が順調じゃないときこそ、教育にコストをかけるべきだったり、モチベーションをあげるために厚生費をつかうことが、有効な施策なときもあると思うんですよね。

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佐々木: そうですね。メンバーの心理としては、負のスパイラルに陥ってしまう可能性もありますもんね。

宮本: あと「離職率を下げる」というのも、あまり有効に機能しないように思います。もちろん、業界水準より高い数値が続くのは不健全だと思います。
一方で、低いことが必ずしも良いこととは言えないと思います。新しいメンバーの加入や価値観の衝突が起きていないとも捉えられますし、「下げる」ことが数値目標になると、事業のマネジャーが部下の退職引き止めに奔走して本来やるべきことができず、数年後に業績に反映してくる、という話もよく聞きます。

佐々木: 2つとも、人事の悩みあるあるな気がしますね・・・。

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後半に続く・・・
ローカル企業こそ“働きがい”を大切に。温泉道場のCHROに聞いてみた(後編)

佐々木 圭子KEIKO SASAKI

Department
(株)Kii company
Position
室長

2016年入社。サービス現場を約3年経験し、HR部門へ。現在は1つの枠に捉われない仕事、働き方で、三重と埼玉の2拠点生活中。口癖は「なにか面白いことがしたい」。好きな言葉は、アドベンチャー。実は仕事よりも周りの人たちをいじっている時が一番楽しそうだったりする。好物のチョコレートがあれば、だいたい頑張れるタイプです。

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