こんにちは。温泉道場の山崎です。
前回のブログでは、リニューアルのポイントは収益改善のゴールをしっかりと設定することにあることをお伝えしました。今回は、小型温浴施設やコンセプト型温浴施設におけるリニューアル投資の考え方をお伝えします。
1.キャッシュフローの向上
最低限ほしいキャッシュフローは、
減価償却+営業利益≧借入返済+借入利息
です。
理想は、
減価償却+営業利益+(未来投資)+(予備収益)≧借入返済+借入利息
という形です。将来への人材投資や研修費、修繕の積み立ても含めて、また競合店が出店した際に最大20%の売上損失を見込んだとしてキャッシュフローがマイナスにならないレベルまでもっていくのが良いと考えます。
2.投資(リニューアル)のタイミング
投資のタイミングは、各々の状況によって適正時期が変わってきます。たとえば経常収支だけで考えると、次のようになります。
A)経常収支が大きくマイナスの場合
→休館を伴っても即やるべき
B)経常収支がトントンの場合
→営業努力である程度実績を伴った後にリニューアルを行なうほうが賢明
C)経常収支がプラスの場合
→水まわりの設備更新にあわせて行なうのがよい
しかし、競合店の出店などの予定がある場合はこの限りではありません。近隣に競合店がオープンする場合は、オープン前にリニューアルをかけてポジショニングを確立するか、競合店オープン後1 年くらいを目安にリニューアルを行なうほうが賢明です。競合店がオープンしてから半年くらいで顧客の棲み分けやマーケティングデータも揃ってくるので、そのデータをもとに同じマーケットで共存できるような業態に転換するのがよいでしょう。
業績不振の店舗の場合は、売上規模は商圏内で3〜4番手といったケースがほとんどなので、地域1番店の得意とする客層のニッチをついたコンセプト・営業形態へのリニューアルを行なうことが必要です。一度に大きな投資をするよりも数百万円、数千万円程度の投資規模でのリニューアルを数年おきに行なうことがキャッシュフローを向上させるためにはいちばん効果的です。
■1000万円規模のリニューアル例:おふろcafé utatane脱衣所
■300万円規模のリニューアル例:昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉 露天風呂
3.投資回収の考え方
これは新規物件か居抜き物件によって全然違います。新規物件は小型温浴施設やコンセプト型温浴施設でも10~12年程度で事業収支が成り立てばよいほうで、昨今の建築費高騰で15年程度になってしまうケースもあります。
居抜き物件では、適正な投資額であれば5年程度で回収することが可能です。しかし、投資金額を適正化することは経験のない事業者にとっては非常に難しいのが現状です。投資が少ないと想定の売上げに達せず事業収支は成り立たず、投資過多でオーバースペックになった場合も投資回収の年数が伸びてしまいます。
リニューアルは「すれば終わり」ではありません
リニューアルは一度すれば終わりというものではありません! そのあと実際の運営状況を見て、追加投資の判断をしたりオペレーションを変更するなど、都度の調整が必要です。温泉道場のコンサルティングの強みのひとつは、自店舗の運営&リニューアル(大規模から小規模まで)を何度も実施している経験値から、あまりズレのない適正な判断軸をもっていることにあります。
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▶︎温泉道場の事業再生に関する過去記事
「温泉×カフェ」の新業態がヒット 温浴施設を再生する仕掛け人(月刊 事業構想 オンライン)
指定管理から長期賃借・民営へ、越生町の温浴施設を温泉道場が再生(日経BP)
「お荷物施設」埼玉県越生町が再生モデル(日本経済新聞)