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こんにちは。デザイングループの堀内です。前回、デザイングループがおふろcafé湯守座へ出張してきたブログを書きました。
今回はおふろcafé湯守座のこだわりの館内着を作った『スーベニール株式会社』に館内着の開発秘話を聞きに行ったお話です!
京都のスーベニール株式会社を訪問
2017年12月1日、スーベニール株式会社を訪問させていただきました。
インタビューを受けていただいたのは、代表取締役の伊藤社長、経営企画部の児玉さん、松本さん。優しく温かい雰囲気が溢れている素敵な方達。
(右から代表取締役の伊藤社長、経営企画部の児玉さん、松本さん)
まずインタビューに入る前に、スーベニール株式会社とは一体どのような会社なのかのご説明を。
スーベニール株式会社と株式会社伊と忠
明治28年3月、「伊と忠」が京都室町にて和装履物の小売店を創業したのがスーベニール株式会社の始まり。
平成17年5月に株式会社伊と忠の新規事業として、新ブランド「karankolon kyoto」を立ち上げ、京都三条で開業します。平成19年には今日雑貨ブランド「カランコロン京都」にリニューアル。新宿ミロードのモザイク通りに1号店を開店することに。翌年には京都四条にカランコロン京都の本店を開店させ、その後は新業態であるがまぐちブランド「ぽっちり」の1号店を京都祇園に開店。
そして、平成24年8月。株式会社伊と忠より分社独立し、新たにスーベニール株式会社を設立。
翌年2月には、新ブランドである「ハンカチベーカリー」「dot・dot」を同時リリースするなど、「モノが売れない」といわれるこの時代に精力的に新ブランドを立ち上げ、年代・国籍を問わず多くの人に愛されるお土産小物をつくり続けています。
おふろcafé湯守座の館内着の開発ストーリー
今日は伊藤社長率いるスーベニール株式会社の皆さんに京都でのものづくりについて色々とお聞きしてきました。
ー温泉道場とスーベニール株式会社の出会いはどんな出会いだったのでしょうか?
児玉さん:2016年の冬頃に山崎さんから直接弊社のWEBのお問い合わせフォームに直接ご連絡をいただきました。商品のご感想や営業の問い合わせメールの中に、山崎さんからのご連絡を見つけて・・・。慌てて社長に相談しました(笑)
山崎:まさか伊藤社長からお返事が返ってくるとは思ってもみなかったです(笑)
伊藤社長:webサイトを見させてもらって『面白そうなことされてるな』と思って、直接すぐお返事させてもらいました。でも正直、普段小物類ではいろんなものを作っていますが、衣服系に関しては自社でやる機会がこれまでになかったもんですから・・・、不安がありました。
でも、自分たちの可能性が広がるかもしれないし、どういうものづくりができるのか挑戦してみたいという気持ちがあったんで、チャレンジしてみようかということになって、お話を引き受けさせていただきました。
児玉さん:実際に湯守座オープン日にお邪魔しました。年齢が上のお客さんでもゆったり違和感なく、可愛く着てもらえていてよかったです。
ーですが、そこに至るまではとても不安な上に課題が山積みだったそうですね。というのも、当初、山崎さんから共有された湯守座のデータは「ロゴ」のみ。(それは不安すぎる・・・)
児玉さん:布小物を作っている要領で、館内着を制作するとなると、いつもと勝手が違って大変でした。小物に乗せるイメージでデザインを考えても、館内着の場合は違和感がすごくて。模様のサイズ感も着た時に気持ち良い・ちょうどいいサイズ感を探しながら、デザイナーもいろいろと試行錯誤していたみたいです。
いつもお願いしている布小物の生地の染工場では染められないとか、洗濯後にくしゃくしゃになるんじゃないかとか、実際に着てみて透けていないかとか・・・。本当にオープンまでに間に合うのか、クオリティが上げられないのであれば、やめてしまった方がいいんじゃないか。・・・いろいろと悩みました。
館内着制作が進む中、最終的に館内着の製造をお願いした工場は株式会社伊と忠の呉服事業でお付き合いしているところだったそう。当初伊藤社長は工場の職人さんに鮮やかな色のデザイン案を相談。すると意外な話を耳にします。
「パジャマは、着物や浴衣のような色の濃い生地のものと圧倒的に洗濯頻度が違う」
「パジャマは色落ちすることが前提で売られている。だから、ぱきっとした鮮やかな色のパジャマはあまりない」
と別視点からのパジャマの捉え方があることに、現在の湯守座館内着デザインのヒントを得たのだとか。
こういう経緯を経て「湯守座館内着」のベースができあがってきたんですね。
ちなみに湯守座館内着の形は、おふろcafé系列で使用されているブラウンの館内着をベースに制作されたそうです。
他社と仕事をするということについて
児玉さん:お仕事を『クライアント側と受注・制作側の立場』というよりも、いろいろと正直に山崎さんにご相談しながら進めさせていただき、『大丈夫ですよ、こうしてみましょうか』と返してもらえたことで、前に進めたんですよね。同じ社内で一緒にお仕事をさせてもらえているようなチーム感をすごく感じました。
山崎:温泉道場は社外の方とも分け隔てなく、一緒にプロジェクトを動かしていくスタンスで仕事を進めていきます。難しいことを頼んでいるのは承知の上。直接「壁に当たった部分」を相談・共有してもらえたことで、こちらでも優先順位の判断もできるのでよかったですね。
2017年9月に実施した温泉道場の1Day視察ツアーでは、温泉道場の社員と湯守座のスタッフで「カランコロン京都」本店にもお邪魔させていただきました。見学させていただいたことで、会社がやろうとしていることを湯守座のスタッフさんにも理解してもらえるいい機会になったと思います。
「ものづくり」に対する想い
京都市内に全ブランド合わせ14店舗、関東含め全国各地に37ものお店を構えるスーベニール株式会社。伊藤社長が館内着を制作する際、一番大切に考えていらっしゃったのは「ご年配の方が着用されて、違和感なく馴染む・溶け込むのが大事だ」ということ。
伊藤社長:湯守座の元々のお客様(ユラックスの常連様)の気持ちになって考えた時に、元々あった安心感はなくなってしまうな、と思うんですよね。
もともとあった店をリノベーションするということで、既存のお客様の満足度を上げることと、新しい顧客を引き込むことの両立するバランスが難しくなりますよね。
一回、湯守座の元々のお客様の気持ちになって考えてみようと思って。
モダンでおしゃれな『おふろcafé』に変わってるのに、『おふろは変わってないじゃないか』なんていうお客様もいるけど、でも、『それはそれでいい』というお客さまの気持ちも隠されているんじゃないかと思ったんですよ。
変わっていないことを不満に思うのか、安心しているのか、変えて欲しいという期待があるのか・・・。投資の優先順位もあるかもしれないけど、変わっていないところを『残す』ことで、お客さんの安心感を『残す』ことにつながっているんじゃないかと。
伊藤社長:京都は長い歴史の中で積み上げてきたものは『変えないこと』が美徳として根底にあるにも関わらず、それが時代の中で衰退していくのも現実の問題としてあって・・・、変えなくちゃどうしようもなくなってきたんです。変えるということに慣れていないと『変えすぎてしまう』んですよね。たまに見かけるのは、元々よかった部分ですら無くなってしまっていて残念に感じることが多々ある。でも、うちは変えるということはせず、プラスαで付け加えて『新しくスタートさせる』ということをさせています。
温泉道場とスーベニール株式会社の今後
伊藤社長:『スーベニール』という名前の会社なので、お土産、観光市場を主戦場としてやっていくのは主軸にはあるんですが、うちの場合『お土産』の定義が広くて、ものだけじゃなく、思い出っていう形にならないものも踏まえたうえで社名をつけてるんです。今後、『もの』だけに留まらずいろいろと展開していければとは考えているものの、まずは、今のお土産市場にはないような半歩先を見据えたお土産を提案できるように、しっかりと物づくりをベースにはしていきたいですね。
ただ、自社で全部賄うんではなくて、チャンスがあれば他企業さんと一緒に組んで、物だけではなく観光の場での食・サービス分野への広がりも面白いなと思いますね。
あと、どうしてもwebのメディアっていうものが無視できないものになっているんで、そこで自分たちのアナログの感覚を生かしながら何ができるんだろうと考えつつ、webへの展開もしっかりと視野に入れて行きたいなとは思います。
※2018年1月3日にはfacebookページも公開されたそうです。
山崎:うちは今お風呂は直してないんですけど、温泉道場が本格的にお風呂を直しに行ったら、どうなるんだ?という話にはなっていくのかなと思っていて。
インパクトのあるものがいいなとは考えてるんですけど、お風呂からのアプローチではなく、別ジャンルからのアプローチから作っていければなとは考えてます。
あと温泉道場は、お風呂から文化を発信するという経営理念なので、地域や日本の伝統文化、衣食住をお風呂の中で表現していきたいなと思ってます。
最後に
約2時間にもわたるインタビューはとても濃密でした。温泉道場とスーベニール株式会社が主軸とする分野は違えど、共通する部分も多く発見できたり両社のあふれる熱意を感じられる2時間でした。
湯守座の開発で繋がったせっかくのご縁。これからも両社のより良い関係を築いていければと思います。伊藤社長、スーベニール株式会社の皆さん、ありがとうございました!