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転職で、コンサルからローカルへ。20代で役員となった白石純也さんの挑戦

馬部桃花

現在のお仕事の内容

専務取締役として働く白石純也さん。これまでのキャリアや今後の挑戦について、新卒3年目の馬部がインタビューしてみました。

ーー現在のお仕事の内容を教えてください。

今は、経営にかかわるあらゆることに携わっています。店舗の日々の業績で売上を上げ、利益を残していくためにどういう企画をすべきか、どうしたらお客さまに喜んでもらえるか。店舗にかかわるあれこれを営業本部長という立場で、直営7店舗を担当しています。また、取締役として、コーポレートやファイナンスにも携わっており、会社を経営していくにあたって必要な「ヒト、モノ、カネ」の手配をします。「会社が何年後こうあるべき」を考えながら、会社がどんな事業をすべきか、やめるべきことは何か、といった意思決定し、執行していくことが役割です。

ーーどういったときにやりがいを感じますか?

数字が動いた時ですね。数字は、お客さまの反応です。自分が思った通りに、お客さまが反応してくれたり「こうしたら、お客さまは喜んでくれるのではないか」と思って実行したアクションやサービスが、リアクションとして帰ってきたときに、やりがいを感じます。「自分が考えていることや、『こうすればもっと良くなる』と思っていることを、世の中に問いかけたい」という思いが根底にあって。「僕はこういうふうに思っているのだけれど、どう思いますか?」ということを、経営を通じて表現したい。世の中にそれを問いかけて、どうリアクションしてくれるのかに興味があります。

反応が数字として返ってきたら嬉しいし、「違ったか」と思えばまた違うアクションで問いかけてみる。ずっとそれをやっていけたらいいな、と思います。

ーーどうして転職をしようと思ったのですか?

コンサルティング会社にいたのですが、社会人4年目のときに温泉道場へ転職しました。もともとは観光業に興味があって、幅広く業界にかかわることができるのを魅力に感じ、コンサルタントを志望しました。

ただ、コンサルタントで観光業にかかわる限界を感じたんです。自分がどれだけ心の底から「こうしたほうがいい」と思って、お客さまに提案したとしても、結局自分は実行者ではなく、外部からアドバイスや指摘をする側でしかなかった。仕事はとても楽しくて、働き方に不満もなかったけれど、コンサルティングをすればするほど、「自分でやりたい」「自分で実行し、それに対するリアルなリアクションを感じたい」という感情が強くなっていきました。

ーー温泉道場に入社した決め手を教えてください。

もともと温泉道場や「おふろcafé」のことは知っていて、経営陣が若いということに魅力を感じていました。それは意思決定の速さにも直結するだろうし、若手に裁量権を任せていくスタンスなのだろう、と思っていました。自分で事業を起こしたいという思いが強く、その環境に身を置けばそれが達成できるのではないかという思いで、入社を決めました。

温泉道場に入社してみて

ーー実際入社してみて、いかがでしたか?

温泉道場は、支配人の決裁権がとても大きいです。店舗にかかわることについて決める権利は基本的に支配人が持っています。僕は、温泉道場の支配人は「疑似経営者経験」ができると思っています。「店舗のことは、店舗で決める」というスタンスなので、社会人3、4年目で支配人になって、予算、店舗の採用や給与、シーズンの企画、来年度以降の投資計画などをすべて決めて、責任を持つ。しかもそれが個人的なリスクがない状態で体験できます。
それは、ある意味社長の山崎さんが、銀行さんのように、お金を融資してくれるようなシステムになっているからです。失敗したとしても、それは会社の中での失敗にすぎないので、個人の生活ができなくなってしまうわけではない。

支配人は、経営においてやらなければいけない、一連の流れを知ることができます。しかもそれは、ある一つの領域ではなく、店舗運営にかかわるありとあらゆることにおいて。これは、とても魅力的なことだと思います。なぜなら、若いうちに、自分で決断する経験をもつことはすごく重要で、意思決定の回数がそのまま経験の回数、成長の回数になるからです。

ーー支配人から執行役員、営業本部長、専務取締役と役割が変わってきましたが、どんな変化がありましたか?

支配人は、自分の店舗がどうしたら売上を上げ、利益を作れるか、みんなが楽しく働くことができるか、といったことに集中します。ただ、それよりも上の立場となると、考える範囲は「全社」になる。全体最適で考えるので、各店の都合や状況は理解しつつも、「会社として」意思決定をしないといけない立場になりました。目に見えない部分、たとえば人の採用・教育や、資金調達の部分など… 緊急ではないけれど重要なことを考えないといけません。そして、複数の軸で考えないといけない。でも、支配人も、今の立場も、どのポジションも楽しいです。

ーー入社当初は、どんな苦労がありましたか?

もともとコンサルティング会社で働いていたとき、相手は経営者や幹部の方々でした。みんな「どうしたら組織が存続できるか、事業を拡大できるか」という同じ目線のもと仕事をしていたので、コミュニケーションのストレスが少なかったです。温泉道場に入社して、パート・アルバイトスタッフさんとともに施設を運営していくなか、「働く意義やモチベーションが個々人でかなり異なる」環境だということに、最初はとても驚きました。でも、それはローカルで働くうえでは避けては通れないことだと気づきました。そもそも、既に地域のみんなが同じ方向を向いているのだとしたら、地域はすでに盛り上がっているはずです。それがなかなか達成されないのは、いろんな価値観を持っている人が、そもそも働く場所の選択肢が少なく、同じ場所に集まっているから。これは、ローカルでやっていくうえでは一生付き合っていかなければならないこと。最初は「なんで?」と思っていたけれど、こちらのスタンスを変えないといけないなと思いました。

ローカルで活躍したいと思っている方に必要な要素とは

ーーローカルで活躍したいと思っている方に必要な要素って何でしょうか?

ローカルでやっていく覚悟があるか。東京や、主要都市であれば、人口も多く、仕事の選択肢も多いです。だから、何か一つのプロフェッショナルであれば、問題なく生活ができます。「マーケティングだけ」とか「デザインだけ」「接客だけ」とか… ただ、ローカルで活躍したり、自分で起業したりしたいのであれば、「~だけ」ではなかなか難しいのではないかなと。「あれもこれも、やらないといけない。」という環境の中で、それを楽しむことができる人はローカルで活躍ができると思います。

ーー今後挑戦したいことを教えてください。
分散型ホテルに挑戦したいです。そもそも、旅館やホテルは、地方の経済の核となるものだと思っています。1つのハコの中に、客室、食事処、お風呂、お土産処、ラウンジ、宴会場などがまとまっていて、影響力があるからです。旅館があるから、県外や海外から人が来て、お金を落としていく。仕事ができ、雇用が生まれていく。いろいろなサービスが生まれるので、食材の仕入れや、リネンの洗濯など、売店での販売など、取引先の会社がつながっていく。そういった波及効果があります。

しかし、ここ数年のコロナ禍はまさにそうですが、天災や社会情勢の変化で一気にダメージを受ける。旅館が運営できなくなったときの、地域経済への影響もはかりしれません。人が離れ、周辺の関連事業者も動きが止まってしまう。こういった問題は、これからの日本で多発すると思います。

一方、分散型ホテルは、1つの町を観光地にとらえて、1つのハコだけでなく、町全体で協力してお客さまを楽しませ、地域全体で稼いでいくモデルです。僕はそのあり方にとても共感するので、ぜひやりたいです。もともと分散型ホテルはイタリアで生まれたもので、日本でも最近は増えてきているけれど、温泉街でやっている事例はまだ少ないです。旅館は、全国各地のロケーションの良い場所にあるものなので、それを使って、「分散型ホテル」×「温泉」とかけ合わせたい。そして、ローカルの社会課題に対して一石を投じたいです。

こんな人と一緒に働きたい

ーーどんな人と一緒に働きたいか教えてください。

地域経済を盛り上げることに興味がある人に来てほしいです。「地方創生」は、いろいろな解釈ができる言葉です。ただ、結局突き詰めて考えると、自分が住んでいた町や、自分が好きだった田舎がなくなっていくのは悲しいこと。なくなってしまうのは、町が儲かっていないから。そして、儲かっていないから、人が離れてしまう。だから、儲かる事業があること、人を雇用し、地域経済をまわしていくことが必要だと思います。それが、温泉道場の考える「地域活性」です。

そして、温泉道場の「地域活性」に共感する方に来てほしいです。税金を使って事業を起こすことや、古民家を改装することが地方創生ではないと思います。それはあくまで手段であって、その結果地域にお金が落ちて、雇用ができ、税金が支払われる、というのが「地域経済が盛り上がる」ということです。それを理解したうえで来てほしいと思っています。

また、スキルはあとからついてくるものだと思っているので、マインドが重要ですね。なんでも素直に吸収できる人と一緒に働きたいです。吸収したことを勉強し、力にする意欲を持っている人。また、温泉道場で働きたいから、温泉や旅館に詳しくないといけない、ということは一切ないです。僕も、温泉道場に入る前は、温泉やサウナに興味はありませんでした。埼玉とも、まったく縁もゆかりもなかったです。
そういう人でも活躍できるので安心してほしいと思います。温泉やサウナは、僕らのメインの手法であるけれど、手段にすぎません。それ以外の方向でも「地域を沸かしたい」という気持ちがあれば、ウェルカムです。

ーーありがとうございました!!

馬部桃花MOMOKA UMABE

Department
ビジネスプロモーション本部
Position
管理部(HR&C室)/副室長

北欧エストニアのタルトゥで交換留学生として1年間過ごし、北国の風景とエストニアのサウナ文化に心を奪われる。エストニアに関わる仕事をするため、温泉道場に入社。
知と知、経験と経験、偶然と偶然がつながる感覚が好き。
座右の銘は「幸福度は移動距離に比例する」。
人生の伏線をできるだけ張り巡らせるため、移動を大切にしています。

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